一酔千日とは

非常に美味しい酒をたとえた言葉である。
一口飲んだだけで心地よい酔いに包まれ、まるで千日もの間、夢心地で眠り続けるような気分になることを意味する。

宋の時代。無類の酒好きの「劉玄石りゅうげんせき」という人が、酒屋で千日酒せんにちざけという酒を買った。
劉玄石は家に帰りその酒を飲んで酔い潰れ、眠り込んでしまったが、数日経っても目を覚まさないため、家族はそれを死んだと思って棺に入れて葬ってしまった。

酒屋の店主は「一度飲めば千日間は酔いがさめない」と注意することを忘れていたため、ちょうど千日後を狙って劉玄石を尋ねたところ、既に死んで墓に埋められているとのこと。家族に事情を説明して慌てて墓を掘り起こすと、酒臭い匂いがして、劉玄石はあくびをしながら目を覚ました。

以降、酒屋の主人は酒の効果に肝を冷やして、千日酒を作ることはなかった。

例文

・この地酒はまさに一酔千日の趣があり、ひと口で深い余韻に酔いしれた。
・友人が持参した古酒は一酔千日の名にふさわしく、盃を重ねるごとに時を忘れた。

四字熟語 一酔千日
読み いっすいせんにち
出典 『博物志』
英訳 Excellent drink
使用漢字
最終更新日:2025年9月17日