越鳧楚乙とは

同じ物でも、国や人によって違う呼び名が付いているということの喩え。
あるものを見て、それぞれの地域や文化で異なる認識をすることを示しており、共通の基準が存在しないことを表す。

空を飛んでいるおおとりを見て、えつの国の人は「鴨である」と言い、の国の人は「燕である」と言ったという故事が由来。

えつ」は古代中国の越国。
」はカモのこと。越の人々は鳥を見て「かも」と呼んだ。
」は古代中国の楚国。
「乙」はツバメのこと。楚の人々は同じ鳥を「つばめ」と呼んだ。

このように、同じ対象に対する認識が異なることを表す。
現代においても、地域や文化の違いによって同じものが異なる名前で呼ばれることがある。

例文

・ある料理の名称が地方ごとに異なるのは、まさに越鳧楚乙の現象である。
・科学的な分類が発展する前は、生物の呼び名が越鳧楚乙のように地域ごとに違っていた。
・言葉の違いによる誤解は、古くから越鳧楚乙のような事例として存在していた。
・越鳧楚乙の考え方を理解すれば、異文化交流において相手の視点を尊重することができる。

四字熟語 越鳧楚乙
読み えつふそいつ
出典 『南史』顧歓伝
英訳 The same thing is called differently by different people or cultures.
使用漢字
最終更新日:2025年2月17日