画蛇添足とは

余計なものを付け足した結果、台無しになってしまうこと。蛇足。

「蛇をえがきて足をう」と訓読する。

古代中国、戦国時代。
楚の将軍昭陽しょうようは魏を討ち破り、次に斉を攻めようと軍を進めていた。
これを聞いた斉の閔王びんおうは恐れ、縦横家として知られていた陳軫ちんしんに相談した。

陳軫は「ご心配なく。攻撃を思いとどまらせてまいります」と言い、昭陽のもとに赴いた。

そして昭陽に次の寓話を語った。


楚の国で春の祭りのとき、大きな杯に酒を注いで人々に振る舞いました。
皆で飲めば足りないが、一人で飲むには多い。
そこで「地面に蛇の絵を描き、最も早く描き終えた者が酒を飲むことにしよう」と決めました。

一人の男が真っ先に蛇を描き上げ、杯を手にして言いました。
「私はさらに蛇の足まで描けるぞ」
その間に別の男が蛇を描き終え、杯を奪って言いました。
「蛇に足などあるものか」

こうして、蛇に足を描いた男は酒を失ってしまったのです。


さらに陳軫は続けて言った。


昭陽殿は楚の宰相として魏を討ち、大きな功績を挙げられました。
今さらに斉を攻めようとされていますが、斉はすでに昭陽殿を恐れております。
もし勝っても、これ以上昇進できる地位はございません。
勝利を重ねても節度を知らねば、身を滅ぼすことになるでしょう。
それはまさに、蛇に足を描き足すようなものです。


昭陽はこれを聞いて深く納得して頷くと、軍を退いて楚へ帰った。

四字熟語 画蛇添足
読み がだてんそく
出典 『戦国策』「斉策」
英訳 Unnecessary remarks
対義語
使用漢字
最終更新日:2025年10月12日