狡兎三窟とは

身を守るために用心深く様々な策略を用意しておくことのたとえ。
賢いうさぎは、隠れるための穴を三つ用意しているという意味。

別表記:「狡兔三窟」

古代中国、戦国時代。斉国に宰相の孟嘗君もうしょうくんと参謀の馮諼ふうけんがいた。
当時、孟嘗君は斉の閔王びんおうに煙たがられ、宰相の職を解任されることになった。そのため自身の領土のせつに戻ったが、多くの食客も離れ、身の安全や地位の確保に不安を抱えてた。

ある日、馮諼は孟嘗君に助言した。
「すばしこい兎でさえ、三つの窟(穴)があって初めて命を守ることができます。しかし今、あなたには窟が一つしかなく、安心して眠ることはできません。私が残り二つの窟を用意しましょう。」

こうして馮諼は、孟嘗君を守るため三つの窟を用意した。

最初の一つの窟は、彼が領主を務めていたせつの地だった。

馮諼が用意した二つ目の窟は、宰相への復職だった。
馮諼は巧妙に策を巡らせ、隣国の魏に働きかけ、孟嘗君を迎え入れようと計画した。しかし魏が動くことで斉にとっては危険が生じるため、最終的に孟嘗君は斉の宰相に復帰することになった。

三つ目の窟は、孟嘗君の領地に斉の先王の宗廟を建立することだった。宗廟がある限り、斉王は孟嘗君に手を出すことができないからだ。

こうして三つの窟が整えられ、孟嘗君の安泰が確保された。
その結果、孟嘗君は数十年間にわたって宰相の地位にあり続けることができた。

四字熟語 狡兎三窟
読み こうとさんくつ
出典 『戦国策』齊巻
類義語
使用漢字
最終更新日:2025年9月11日