曳尾塗中とは

高い地位に上がって束縛され、窮屈な生活をするよりも、たとえ低い地位で貧しくとも自由な生活をするほうが楽しいという喩え。
官職や権力の座につくことを避け、自由を求める道を選ぶことを理想とする、道家思想の精神を反映した言葉である。
もとは「荘子」に登場する故事に由来し、「泥の中で尾を引きながらでも自由に生きるほうが、名声や権力に縛られて生きるよりも良い」という考え方を表している。

「曳尾」は尾を引きずること。
「塗中」は泥の中、ぬかるみの中。

荘子が「亀は、死んで占いに使われ尊ばれるのと、尾を引きずって泥の中で生きるのと、どちらを求めるだろうか?」と言って仕官を断ったという故事が由来。

例文

・名声を求めて不自由な生活を送るよりも、曳尾塗中の生き方のほうが心穏やかである。
・彼は政界に進むことを勧められたが、曳尾塗中の精神を大切にし、田舎で静かに暮らす道を選んだ。
・一度は大企業の幹部になったものの、窮屈な生活に耐えられず、曳尾塗中の暮らしを求めて退職した。
・どれだけの富や権力を手にしても、本当に幸せでなければ、曳尾塗中のほうがよほど充実した人生と言える。

四字熟語 曳尾塗中
読み えいびとちゅう
英訳 Better to drag one's tail in the mud than to be bound by power
Freedom over fame and power
対義語
使用漢字
最終更新日:2025年2月13日