越鳥南枝とは

故郷を懐かしく思う気持ち。
南から来た越の国の鳥は少しでも故郷に近い南側の枝に巣を作るように、鳥でも故郷を忘れがたいという喩え。

「越鳥」は越の国(現在の中国南部)から渡ってきた鳥のこと。
「南枝」は木の南側の枝。北半球では南側が日当たりがよく温かいため、鳥がより居心地のよい場所を求めてとまることを指す。

この言葉は、中国の『古詩十九首』に由来する。
「越の国から来た鳥は、少しでも故郷に近い南側の枝にとまる」という詩の一節から、どんな生き物であっても故郷を恋しがる気持ちは変わらないという意味で使われるようになった。

「越鳥は南枝に巣くう」と訓読する。
同じ意味の諺で「越鳥南枝に巣くい、胡馬北風に嘶く」がある。

例文

・海外での生活が長くなったが、年を重ねるごとに越鳥南枝の思いが強くなる。
・故郷を出て都会で働いているが、ふとした瞬間に越鳥南枝の気持ちがこみ上げてくる。
・どんなに異国で成功しても、心の奥底には越鳥南枝の情が宿っている。
・彼は長年海外に移住していたが、祭りの時期になると越鳥南枝の思いに駆られ、故郷に帰りたくなる。

四字熟語 越鳥南枝
読み えっちょうなんし
出典 『文選』古詩十九首
英訳 A deep longing for one's homeland
類義語
使用漢字
最終更新日:2025年2月13日