按甲休兵とは

武装を解いて戦いをやめ、兵を休ませること。
また、比喩的に、物事が一時的に停止する状況にも使われる。

「按甲」は、甲冑を外すこと。
「休兵」は、兵を休ませること。

こうじて兵を休む」と訓読する。

古代中国。前漢の将軍「韓信かんしん」は背水之陣で趙軍を打ち破り、次の目標として北の燕と東の斉を攻めようと考えていた。
そこで、捕虜となった趙の名将「広武君こうぶくん」に意見を求めた。

広武君は「敗れた将軍は勇ましさを語るべきではなく、滅びた国の臣下は国家存続を語るべきではない」として当初は発言を拒んでいたが、最終的に次のように進言し、『按甲休兵』の策を授けた。

「今こそ鎧を脱いで兵を休ませ、趙の地を安定させることです。戦災で親を失った孤児を手厚く保護し、百里四方から肉や酒を毎日届けさせ、民衆をいたわり、兵士たちに十分な休養を与えること。これ以上に良い策はありません」

韓信はこの助言を受け入れ、軍を休めつつ民衆の心を掴むことで趙を安定させることができた。
結果として、外交交渉によって北方の燕は戦わずして降伏した。

例文

・両国は一時的に按甲休兵し、和平交渉を開始した。
・按甲休兵の瞬間、両軍は自国に撤退し、次の戦いに備えた。

四字熟語 按甲休兵
読み あんこうきゅうへい
出典 『史記』「淮陰侯列伝」
英訳 Temporarily halt the battle
Temporary ceasefire
類義語
使用漢字
最終更新日:2025年9月6日