争名争利とは

名誉や利益を争って奪い合うこと。

「名を争い利を争う」と読み下す。

古代中国、戦国時代後期。
しょしょくの二国が争っていた。
両国は互いにしんに助けを求めていた。秦の惠文王はこの情勢を利用して蜀を攻めようと考えたが、同時に隣国のかんからの挟撃を恐れていた。
そこで、司馬錯しばさく張儀ちょうぎを呼び寄せ、どちらを先に討つべきかを質問した。
張儀は「蜀を先に攻めるのは得策ではない」と主張し、次のような論を述べた。

「蜀は辺地の遠国であり、戎翟じゅうてき(異民族)の地である。たとえ軍を動かしても、兵を疲弊させ、名声をあげるに足るものではない。たとえその地を得ても、利益とはならない。名誉を争うのは朝廷で行うべきことであり、利益を争うのは市場で行うべきことである」

対して司馬錯は、張儀とは反対に「蜀を伐つべき」と主張した。

結局、惠文王は張儀の論を退け、蜀への出兵を決断した。
秦は兵を起こして蜀を攻め、以後ますます国力を強め、他の諸侯を軽んじるようになった。

四字熟語 争名争利
読み そうめいそうり
出典 『史記』張儀伝
使用漢字
最終更新日:2025年10月11日