不昧不落とは
禅宗の言葉で、悟りを得た人は、因果律から外れることも、因果を否定することもないという意味。
善悪の報い(因果)に縛られることなく、すべてを正しく受け止め、物事の本質を曇らせることもないという境地にあること。
唐の時代の禅僧「百丈懐海」の説法に由来する。
百丈懐海という高僧のもとに、毎日のように一人の老人が説法を聞きに来ていた。
ある日、和尚が「あなたは何者ですか?」と尋ねると、老人は次のように語った。「私は人間ではありません。昔、修行者の一人に "悟りを得た人は、因果(善悪の報い)に縛られるのでしょうか" と質問されたとき、私は誤って "不落因果(因果には落ちない、因果には縛られない)" と答えてしまいました。そのせいで、500回も狐に生まれ変わってしまったのです。どうか正しい授けてください。私は野狐の身から救われたいのです」
そう言って、老人は再び「悟りを得た人は、因果に落ちるのでしょうか?」と同じ質問を投げかけた。百丈和尚は静かに答えた。
「不眛因果(悟りを得た人は因果を否定しない)」その答えを聞いた老人は大きな悟りを得て、和尚に告げた。
「私は今、野狐の身を脱しました。裏山に私の死骸があります。どうか僧侶として弔ってください」言われたとおりに裏山に行くと、そこには一匹の狐の死骸があった。
百丈和尚は、その狐を僧侶と同じように葬ったという。
別表記:「不落不昧」
四字熟語 | 不昧不落 |
---|---|
読み | ふまいふらく |
出典 | 無門慧開『無門関』「百丈野狐」 |
類義語 | |
使用漢字 | 不、昧、落 |
最終更新日:2025年9月13日 |